2回泣いた
厳密には、抑えたので、泣いたというより涙が滲んだという程度だが。一人きりの環境で読んでいたらもっと泣いたと思う。
アーヴィングの小説で、泣いたことはあったっけなあ?
この『あの川のほとりで』の下巻は、上巻に増して、ブログで読んだことを知らせるのが難しい。内容に触れたくなる。
内容に触れちゃうと、まかりまちがってこれから読む人がこのブログを読んだ時に、ね。もっとも、見知らぬ人が数人と友人が1人か2人読んでくれるだけだから、気にしなくていいような気もするけれど。いや、それでも書かないよ。ネタばれ的なことは。
実際にあったあの事件のことがポコっと登場した章が意外だったんですよ。でも書かずにはいられなかったのかな。はじめから書くことは決定していたのかもしれない。
そういうば、珍しく写しを書いた文があった。
若い頃はよく、気に入ったフレーズがあるとカードに書き留めていたんだ。
我々はこのようにして自分たちの英雄を生かし続けようとする。だからこそ、我々は英雄を忘れないのだ。P.366より
これなら、読んでいない人には何も影響はない。けれど、読んだ人は分かるかな?
僕はここの少し前からの下りも含めて、このフレーズが気に入りました。
泣いたのは、「ショーブダ」のところP226からの流れにのってP.230の「ショーブダ」でザッパーンて感じ、もう一つは、ほんとの終わりの一章のあるところ。P.379からのストーリーがあってP.386で泣いたね。
どうでもいいけどさ、この話、老人が元気だよね。アメリカの老人ってこんなに元気なのかな。
それから、ふと気がついたんだけど、アーヴィングの小説って性的な描写とかセックスの話とか必ずといっていいほど出てくると思うんだけど、書き方が絶妙だよね。
たとえば、村上春樹の小説って読んだあとにエロいシーンしか覚えてなかったりするしちんこ勃っゃうんだよね。けっこうなエロ小説だと思うんだよね。例えば、セックスのシーンが2~3分しかない(他のシーンでは裸にすらならない)のに、そこでいきなり勃たせて瞬間スパッとイカせるアダルトビデオといった感じ。アーヴィングの影響は受けてるに違いないと思うんだけど、そういう部分が随分違う、と僕は感じてる。
アーヴィングの性的なシーンは、下半身より心に来る。脳みそと心が濡れるとでもいいましょうか。じゃあ勃ったことないの?って言われるとよくわかんない。勃ったこともあるかもしれないけれど、記憶にはない。そういうこと。(でも多分、勃ったことはないんじゃないかな。)
人生にそういうことが起こりうるよねというリアリティがあるのかな。いや、登場人物や物語への影響として、性的なシーンにきちんと役割があるからかもしれない。
これから読む人は、
ウィンチェスター 20口径のユースモデル と、 レミントン 30-60 スプリングフィールド カービンというのがどういう銃なのか、検索して知って置いたほうが読みやすいと思う。
このサイトでショットガンの仕組みを知っておくのもいいかもしれない。
ショットガンの構造 | HB-PLAZA
またyoutubeで検索したら早いかもしれない。「winchester 20」とか「remington 30-60 springfield」っていうキーワードで。
しかし、物騒な国だね、アメリカは。
そう、それから登場人物が作家であり、書き手の手の内を明かすような内容がかなりあってそれも面白かった。ジョン・アーヴィング自身がそうであるらしいように、終わりの文から書いていくらしく、最後に始まりの文で書き終える、その様子も描かれている。